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東京家庭裁判所 昭和35年(家イ)1476号 審判

申立人 堀井喜美子(仮名)

相手方 戸田武吉(仮名) 外一名

主文

相手方戸田武吉と相手方戸田民夫との間に親子関係の存しないことを確認する。

理由

一、申立人と相手方は昭和二十六年十月婚姻し、その間に昌子(昭和二十六年生)と忠雄(昭和二十八年生)を儲けたが、相手方が麻薬中毒にかかつたことなどから、昭和二十八年七月以来協議の上で、事実上離婚した。

一、その後間もなく申立人は堀井二郎と相知り同人と結婚することとなつたので、昭和三十年一月二十七日相手方との間の協議離婚届をした。

一、ところが、当時既に申立人は堀井の子を懐妊していたので、離婚届後三百日以内である昭和三十年五月三十日相手方民夫を分娩した。

従つて相手方民夫は戸籍上嫡出推定をうけ、相手方武吉の子として戸籍に登載された。

一、しかし相手方民夫は、その父と推定される相手方武吉の子でないことについては、当事者は、いずれもこれを争わず、又それが真実であると認められる。そうして申立人と相手方武吉が事実上の離婚後一年十月を経て、出生した子であるから、嫡出否認の訴によらなくても父子関係の否定はできるものと解される。

一、なお本件について、相手方武吉も相手方民夫を相手取り、当裁判所に対して嫡出否認の調停審判の申立をしたのであるが、自ら申立た事件についても、又本件申立人の申立に係る親子関係不存在確認事件についても、その後の調停期日に出頭しないので、家事審判法第二十三条の審判の前提としての、申立人の申立通りの審判をうけるについて、異議の存否が不明である。

従つて当裁判所は前敍認定事実に基き前敍審判をするを相当と認め家事審判法第二十四条に則り主文の通り審判する。

(家事審判官 村崎満)

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